2021年春季会合ニュースレター 4月8日号

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皆さま

 

国際通貨基金(IMF)2021年春季会合開催にあたり、ニュースレターの4月8日号をお届けします。

本日は国際通貨金融委員会(IMFC)の記者会見、ゲオルギエバIMF専務理事のグローバル政策アジェンダ、デジタル化についてのアナリティカル・コーナー、世界経済についての旗艦IMFセミナーの会話についてスポットライトを当てます。それでは、下記をご確認ください。

春季会合ニュースレターを毎日お送りするのも明日で最終回です。ご感想をお聞かせいただければ幸いに存じます。春季会合とニュースレターでの情報発信について、60秒で済むアンケートにご協力ください。ご意見を今後のイベントや情報提供の参考にさせていただきます。

8日の予定(48日木曜日)

10:30 AM - 11:00 AM: 国際通貨金融委員会(IMFC)の記者会見

スピーカー:クリスタリナ・ゲオルギエバ(IMF専務理事)、マグダレーナ・アンデション(国際通貨金融委員会議長)//モデレーター:ジェリー・ライス(IMFコミュニケーション局長)

11:00 AM - 11:45 AM: アナリティカル・コーナー セッション3 「デジタル化」

スピーカー:ディエゴ・セルデイロ(IMFアジア太平洋局)、アルパ・シャー(IMF財政局)、カタリナ・マルグリス(IMF法律局)

12:00 PM - 12:45 PM: IMFセミナー 「世界経済についての議論」

スピーカー:クリスタリナ・ゲオルギエバ(IMF専務理事)、ジェローム・パウエル(連邦準備制度理事会議長)、パスカル・ドノホー(アイルランド財務大臣)、ンゴジ・オコンジョ・イウェアラ(世界貿易機関事務局長)//モデレーター:サラ・エイゼンCNBC「クロージングベル」共同アンカー

専務理事のグローバル政策アジェンダ

水曜日、IMFのゲオルギエバ専務理事がグローバル政策アジェンダを公表しました。 

記者会見の冒頭発言でゲオルギエバ専務理事は「明るい兆しが見えている一方で、経済危機が今も暗い影を落としている」とロシア人作家レフ・トルストイを思わせる表現を用いて語りました。

3つの側面での公平な機会: 政策担当者はあらゆる人々に公平な機会を与えることで正しい行動を今こそ行うべきです。例えば、ワクチン接種であったり、復興期間における支援であったり、将来的にグリーン・デジタル・医療・教育の機会に向けた公的投資への参加とこうした機会からの恩恵の享受であったりにおけるチャンスの公平さです。

「経済的な運命が危険なほど分岐しつつあります。アメリカと中国を中心として先進国・地域と新興市場国のうち少数の国々が力強い成長を達成しつつあるが、その一方で貧しく弱い国々が取り残されており、マルチスピードの復興となっている」と専務理事は述べました。 

「また、不確実性が非常に高い。特にウイルスの新しい変異株について、また、金融環境の変化の可能性については不透明感が大きい。そして、失業や学習機会の喪失、企業倒産や極度の貧困・飢えが経済にもたらす後遺症のリスクも存在する」とも話しました。

グローバル政策アジェンダの全文をご確認いただくか、記者会見の映像書き起こしをご覧ください。

世界は後れをとっている

気候変動対策大統領特使のジョン・ケリー氏がゲオルギエバ専務理事とのイベントで気候変動に対して対策を講じる必要性について警鐘を鳴らしました。次回サミットでは、世界レベルでさらに意欲的な目標に取り組めるように世界の首脳が一堂に会すると述べました。

「世界は後れをとっている。多くの人は気候変動を人類存続の危機だと考えているが、世界はそれに見合うだけの行動をとっていない。気を引き締めて取り組まないと。譲許的融資と通常の事業投資による資金調達が必要だ」とも語りました。

ケリー氏はまた、「産業革命以降で最大の経済転換になるだろうと私たちは心の底から強く信じている」とも話しました。

IMFの役割:ゲオルギエバ専務理事は、カーボンプライシング、公共投資への資金供給、気候経済への移行によって生活の糧や事業に影響が生じることになる人々にとっての公正な転換を可能にすることが今後の3本柱になると発言しました。

「重要な点として、将来的に、豊かな国々が新しい気候経済に移行して、貧しい国々が取り残され、新たな格差を生み出すことがないようにすべきだ。国際金融機関には大きな役割があるし、総力を挙げて取り組むべきだ。直接的には融資によって、間接的には最も脆弱な立場の人々への支援を推奨することで貢献できる」と専務理事は語りました。

イベントの模様はこちらからご確認ください。

気候変動指標ダッシュボード

IMFは新しい気候変動指標ダッシュボード(CID)を公表しました。これは、気候変動に関係するデータをマクロ経済・金融の分析に使えるようにするものです。温室効果ガス排出量や、金融・物理・移行リスクの指標、炭素排出量で調整した融資、国際的な指標、政策指標など経済や気候変動の指標を取り入れています。ダッシュボードは複数の国際機関との協力の下で作成されました。そして、IMFの業務だけでなく政策担当者や一般市民の方々による活用も目指しています。 

明日4月9日10時から、この新しいダッシュボードに関してIMFの専門家が行うプレゼンテーションをご確認ください。

明日の予定(49日金曜日)

10:00 AM - 10:45 AM: 能力開発トーク 「安全で効率的で包摂的なデジタル決済システム

スピーカー:デアク・ヤン・フロルマン(IMFシニア金融セクターエキスパート)、タナイ・キアナロン(IMFシニア金融セクターエキスパート)//モデレーター:アン・マルグレット・ヴェスティン(IMF能力開発局課長補佐)

10:00 AM - 11:00 AM: IMFの新しい気候変動指標ダッシュボード 経済・金融分析のための実験的データ

スピーカー:ルイ・マルク・デュシャルム(主席統計官・データ責任者兼統計局長)、ガブリエル・キロス(IMF統計局副局長)、アルベルト・サンチェス(IMF統計局シニアデータアナリティクス官)

11:00 AM - 11:45 AM: アナリティカル・コーナー セッション4 「気候変動」

スピーカー:デイビッド・コルビノ(IMFアジア太平洋局)、クリスチャン・アロンソ(IMF財政局)、鄭天梟(ティアンシャオ・ツェン)(IMF戦略政策審査局)、パオラ・モラレス・アセべド(IMF金融資本市場局)、マクシム・イバニナ(IMF能力開発局)

昨日の振り返り

最新版「財政モニター」報告書

ヴィトール・ガスパール財政局長は「ワクチンの世界的な普及は史上最大のリターンをもたらす公共プロジェクトとなりうるかもしれない」と語りました。

ガスパール財政局長とIMFの林衛基(ラファエル・ラム)、パオロ・マウロメディ・ライシ新しいブログ記事を公表しています。本ブログでは「ワクチン接種を通じて世界的なパンデミックが制御されれば、結果的に経済成長の加速によって先進国では2025年までに累計で1兆ドルを超える追加税収が得られるほか、財政支援策の面でそれ以上の節約が可能となる」と記述されています。新型コロナのワクチン接種はコストを上回る利益を生み出すことになり、それに投じられた公的資金は大きな価値を生むことになります。報告書全文記者会見を是非、ご確認ください。

環境に配慮した経済への移行が金融安定性に何を意味するか

国連気候行動・金融担当特使のマーク・カーニー氏とインドネシアのスリ・ムルヤニ・インドラワティ財務大臣が本イベントに参加し、適切な施策を講じることで、環境に配慮した経済への移行が世界経済を生まれ変わらせる上で、また、持続可能な開発目標を達成したり貧困を削減したりする上で、最大の機会のひとつとなりうる方法について検討しました。  このイベントの模様はこちらからご確認ください。

アナリティカル・コーナー 「格差と債務」

IMFアフリカ局のハブタム・フージィラスマヌ・ウドラウゴがサブサハラアフリカでは1990年代と2000年第に域内での格差が大きく縮小した点についてエビデンスを示しながら語りました。しかし、過去10年間に進歩のペースが遅くなっています。調査局のエルビン・プリフティクリスティアン・ボグマンスはパンデミックが飢餓の削減における何十年もの成果をいかに帳消しにしたかを提示しました。戦略政策審査局のティム・ウィレムスと法律局のシャンダ・デロングはオークションに基づくソブリン債務再編の仕組みが持つ長所を議論しました。プレゼンテーションはこちらで視聴できます。

包摂的な成長の実現

各国政府当局はどのように格差と貧困の拡大、大きな所得差に対策を打つむべきでしょうか?相互に関連するこれらの問題には包括的なアプローチが必要です。研修に関する本イベントでは、IMF職員が経済格差を評価する実践的なツールと、包摂的な成長を実現する政策を紹介します。シャーミニ・クーリー(IMF能力開発局長)、アントワネット・セイエ(IMF副専務理事)、ヴァレリー・セラ(IMF局長補・課長)、マクシム・イバニナ(IMFエコノミスト)、ナタリー・プカム(IMFエコノミスト)、ニコラ・スパタフォラ(IMFシニアエコノミスト)が参加したこの能力開発イベントはこちらからご確認ください。

昨日以前の出来事

「世界経済見通し(WEO)」:「コロナ禍に入って1年が経つが、犠牲者数は増え、数百万人が失業したままで、世界は今なお苛烈な社会的、経済的ストレスに直面している。だが、パンデミックの今後の展開については不透明感が高い中にあっても、今般のコロナ禍と経済危機の出口が見えてきている」と、IMFチーフエコノミストのギータ・ゴピナート調査局長が新しいブログ記事に記しています。また、経済の回復についても各国間および各国内で危険なほどの差が開きつつあります。ワクチン普及が遅かったり、政策支援がより限定的であったり、観光依存度が高かったりする国では復興が順調には進んでいないからです。 記者会見の模様はこちらからご確認ください。また、最新の「世界経済見通し」もご高覧いただけますと幸いです。本報告書については、マルハー・ナーバーによるポッドキャストもご用意しました。

「国際金融安定性報告書」:世界の各市場は米国における目下の長期金利上昇を注視しており、金利が大きく上昇し続ける場合には金融環境のタイト化につながり、成長見通しを損なう恐れがあることを懸念しています。米国における金利上昇がワクチン接種の見通しが改善していることと、成長率と物価上昇率が上向いていることにも起因しているというのは朗報です。良くない知らせは、この金利上昇が金融政策の方向性をめぐる不確実性と、恐らくはタームプレミアム(投資家が得る金利リスクの対価)の急上昇に表れているように米国で財政拡大を賄うための国債供給が増加することへの投資家の懸念を反映している可能性があるということです。トビアス・エイドリアン金融資本市場局長による最新のブログ記事や、報告書全文、記者会見の模様をご確認ください。「国際金融安定性報告書」についてはファビオ・ナタルッチによる15分間のポッドキャストも公開されています。

より持続可能で包摂的な世界経済システムの基盤を築く復興の加速とさらなる深化のために必要なものについて、デイビッド・マルパス世界銀行グループ総裁、クリスタリナ・ゲオルギエバIMF専務理事、ジャネット・イエレン米国財務長官が議論しました。こちらから映像でご確認ください。

復興の差が拡大することを避けるために、債務の脆弱性に対処することがどのように重要かクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事が議論しました。このイベントに参加したパネリストはモハメド・エラリアン(ケンブリッジ大学クイーンズカレッジ学長)やベラ・ソンウェ(国連事務次長)です。より優れた債務枠組みや透明性を通じて債務リスクを抑える方法について、また、国際協調がどのように役立つか議論しました。ディスカッションはこちらで視聴できます。 

IMFのフィリップ・エングラーロベルト・ピアッツァゲーレン・シャーが発表した新しいブログ記事は、最新の「世界経済見通し分析章第4章に基づき、新興市場国への影響を考える上で、先進国・地域における金利上昇の背景にある理由が重要だと論じています。 

IMFのギヨーム・シャベールロバート・グレゴリーガエル・ピエールによる新しいブログ記事では、新しい政策ペーパーに基づき、低所得国がパンデミック対応を拡充するためには2025年までに約2,000億ドルが必要となり、先進国との格差縮小を加速させるためにはさらに2,500億ドルが必要だと試算しています。くわえて、ベースラインシナリオで特定されたリスクが顕在化した場合には、1,000億ドルが追加で必要となります。 

COVAXファシリティのオレリア・グエン局長とIMFのサビナ・バーティア秘書局副局長がワクチン調達・供給の課題、世界中で公正なワクチン普及を実現するために必要な国際協力について議論しました。このイベントはこちらからご確認ください。

今週火曜日、「総裁との対話」で、サウジアラビア中央銀行のファハド・ムバラクムバラク総裁は政策による新型コロナ対策について「サウジアラビアに住む人には、サウジ人かどうかを問わず、ワクチンを提供した。保健について言えば、差など無いのです」と語りました。 詳しくはこちらの映像でご確認ください。クロアチア国立銀行のボリス・ブイチッチ総裁は、新興市場国における資産買い入れプログラムに関して「資産買い入れプログラムが長期化するにつれて、こうした政策に政府と市場のどちらもが依存を強めるリスクが高まり、プログラム終了が難しくなる」と述べました。詳しくはこちらの映像でご確認ください。

 この他にもブラジル、タイ、スペイン、ブルキナファソの「総裁との対話」をご確認いただけます。

月曜日にIMF理事会は適格国である低所得国28か国を対象として10月15日まで債務返済猶予を延長しました。債務返済猶予は、コロナ禍対策支援として、対象国が貴重な財的資源を必須の緊急医療や社会・経済支援に活用することを後押しします。 

先週の振り返り

フェデリコ・J・ディエスロマン・デュバルニコラ・ピエリキアラ・マッジ新しいブログを発表しました。IMF職員による新しい研究に基づき、本ブログの共著者は「今般のパンデミックで中小企業がとりわけ大きな打撃を受けている。ホテル、レストラン、エンターテインメントなど対人接触の多い部門の一部では中小企業が圧倒的に多いのがその一因だ」と述べています。また、「政策当局者は斬新な措置を迅速に講じて企業倒産の波を緩和しなくてはならない」とも提言しています。

クリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事が外交問題評議会主催のイベントに登場し、ファリード・ザカリア氏の司会の下で世界経済の未来について議論し、春季会合の大枠を提示しました。講演全文をご高覧いただくか、60分間の議論の映像をご確認ください。

最新の「世界経済見通し」の分析章第2章に基づくブログをご確認ください。このブログでは、危機がもたらす経済的な後遺症をどのように時間をかけて癒すことができるかを論じています。同報告書の分析章第3章に基づくブログ記事は、政策を通じて、パンデミックが労働者に及ぼした深刻かつ偏りのある影響をいかに緩和しうるか検討しています。

また、「国際金融安定性報告書」分析章についてのブログ記事もご確認ください。分析章第2章に基づくブログ記事では、経済危機を受けた金融環境の緩和がレバレッジ(借り入れ能力)蓄積を加速させる傾向にあり、後日、問題を生じさせかねないと説明しています。一方、分析章第3章に基づくブログ記事では、パンデミック下での在宅勤務へのシフトが商業不動産市場の見通しを不透明にし、金融安定性を潜在的に脅かしかねないと述べています。 

最後になりますが、「財政モニター」公表にあわせて、最新の分析章に基づくブログ記事をご確認ください。同記事によるとコロナ禍前から存在した格差が保健危機の影響を深刻化させた要因と見られています。

先週1週間の総まとめはこちらからご確認ください

60秒の簡単なアンケートのお願い

春季会合ニュースレターを毎日お送りするのも明日で最後です。ご意見・ご感想をお伺いできると嬉しく思います。短いアンケートをご用意しましたので、よろしければご入力ください。コメントを拝見し、今後の春季会合運営や情報発信の参考にさせていただきます。

 

敬具

IMF2021年春季会合チーム

 


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