2021年春季会合ニュースレター 4月7日号

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皆さま

 

本日は、国際通貨基金(IMF)による「財政モニター」報告書の公開、包摂的な成長の実現に関する能力開発トーク、クリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事による記者会見、格差と債務に関するアナリティカル・コーナー、ゲオルギエバ専務理事とジョン・ケリー氏が気候変動対策について対談を行う旗艦IMFセミナーにスポットライトをあてます。それでは、下記をご確認ください。

春季会合と本ニュースレターの情報は、これまでのところ、いかがでしょうか?60秒のアンケートにご協力ください

 

今日のラインアップ47日水曜日)

8:00 AM - 8:45 AM: 記者会見「財政モニター」

スピーカー:ヴィトール・ガスパール(IMF財政局長)、パオロ・マウロ(IMF財政局副局長)//モデレーター:厳婷(ティン・イェン)(IMFコミュニケーションオフィサー)

9:00 AM - 10:00 AM: トロントセンター 「バーチャル・エグゼクティブ・パネル」

スピーカー:マーク・カーニー(国連気候行動・金融担当特使・COP26担当英首相金融顧問)、スリ・ムルヤニ・インドラワティ(インドネシア財務大臣)

10:00 AM - 10:45 AM G20記者会見

10:00 AM - 11:15 AM: 能力開発トーク 「研修の概要 包摂的な成長の実現」

スピーカー:シャーミニ・クーリー(開会の挨拶、IMF能力開発局長)、アントワネット・セイエ(IMF副専務理事)、ヴァレリー・セラ(IMF局長補・課長)、マクシム・イバニナ(IMFエコノミスト)、ナタリー・プカム(IMFエコノミスト)、ニコラ・スパタフォラ(IMFシニアエコノミスト)

10:45 AM - 11:30 AM: IMF専務理事の記者会見

スピーカー:クリスタリナ・ゲオルギエバ(IMF専務理事)//モデレーター:ジェリー・ライス(IMFコミュニケーション局長)

11:00 AM - 11:45 AM: アナリティカル・コーナー セッション2 「格差と債務」

スピーカー:ハブタム・フージィ(IMFアフリカ局)、ラスマヌ・ウドラウゴ(IMFアフリカ局)、エルビン・プリフティ(IMF調査局)、クリスティアン・ボグマンス(IMF調査局)、ティム・ウィレムス(IMF戦略政策審査局)

1:00 PM - 1:45 PM: IMFセミナー「気候変動対策にとって重要な1年 ゲオルギエバ専務理事とジョン・ケリー氏の対話」

スピーカー:クリスタリナ・ゲオルギエバ(IMF専務理事)、ジョン・ケリー(気候変動対策の大統領特使)//モデレーター:ベッキー・アンダーソン(CNNインターナショナル司会者)

状況に応じた政府支援の調整

ヴィトール・ガスパール林衛基(ラファエル・ラム)、パオロ・マウロメディ・ライシが最新の財政モニター報告書に基づき、新しいブログ記事を公表しました。本ブログで著者は「ワクチン接種を通じて世界的なパンデミックが制御されれば、結果的に経済成長の加速によって先進国では2025年までに累計で1兆ドルを超える追加税収が得られるほか、財政支援策の面でそれ以上の節約が可能となる」と述べています。新型コロナのワクチン接種はコストを上回る利益を生み出すことになり、それに投じられた公的資金は大きな価値を生むことになります。

パンデミックが制御できるようになるまでは、財政政策は引き続き柔軟かつ下支えを行うものでなければなりません。そうした支援の必要性や範囲は業界や国によって異なり、対応は各国の事情に応じて調整する必要があります。

とはいえ、各国政府は以下の点を優先すべきです。

脆弱な世帯向けにより的を絞った支援:パンデミックは貧困層や若者、女性、マイノリティ、そして低賃金労働者やインフォーマルセクターの労働者に特に大きな負の影響をもたらしています。政策担当者は、想定外の受給者への誤った給付を制限するなど、費用対効果の高い方法で社会的セーフティネットの対象範囲を拡大することで、危機が続く間、社会的保護の利用可能性と支出の持続可能性を確保する必要があります。

存続可能な企業により焦点を絞った支援:パンデミックが長引く場合には、企業の倒産が広範囲で発生し、対人接触の多いサービス部門や中小企業を中心に何百万人もの雇用が破壊される可能性があります。他方で、各国政府は資源の不適切な配分を防ぎ、存続不可能な企業の増加を制限することが望ましいのです。各国政府は一律提供の融資や保証を徐々に縮小し、介入の必要性が明確な状況に公的支援の対象を限定できるでしょう。支援を提供する前に民間部門と連携して企業の存続可能性を評価することにより、対象の絞り込みを改善し、行政コストを引き下げることができます。

報告書全文記者会見を是非、ご確認ください。

足並みが揃わず非対称な景気回復 金融安定性にとってのリスク

世界経済は、激動の2020年を耐え抜いた後、コロナ禍の最悪局面をようやく脱しつつあります。とはいえ、今後の見通しには地域間や各国間で顕著な乖離が見られ、また、仮死状態で過ごした「失われた1年」を経た上でのことです。中央銀行による異例の政策対応や各国政府の財政措置を通じた世界経済の下支えがなければ、経済のトラウマははるかに深刻なものとなっていたでしょう。

世界の各市場は米国における目下の長期金利上昇を注視しており、金利が大きく上昇し続ける場合には金融環境のタイト化につながり、成長見通しを損なう恐れがあることを懸念しています。2020年8月以降、米国の10年物国債の利回りは1.25%ポイント上昇して2021年4月には1.75%前後に達し、2020年初頭のパンデミック以前の水準近くに戻っています。

米国における金利上昇がワクチン接種の見通しが改善していることと、成長率と物価上昇率が上向いていることにも起因しているというのは朗報です。最新の「国際金融安定性報告書(GFSR)」で解説されているように、名目金利も実質金利も一緒に上昇していますが、名目利回りの方が上昇幅が大きくなっています。このことは、市場から間接的にわかる物価上昇率、すなわち名目国債利回りと物価連動国債利回りの差が回復しつつあることを示唆しています。適度な物価上昇を許容することは、金融緩和政策の意図した目的となってきました。

良くない知らせは、この金利上昇が金融政策の方向性をめぐる不確実性と、恐らくはタームプレミアム(投資家が得る金利リスクの対価)の急上昇に表れているように米国で財政拡大を賄うための国債供給が増加することへの投資家の懸念を反映している可能性があるということです。市場参加者は、米連邦準備制度が資産買い入れのテーパリングを行うタイミングに注目し始めています。テーパリングが行われれば、長期金利が押し上げられ、資金調達コストが高まり、特にリスク資産価格の下落と連動する場合には金融環境のタイト化に拍車をかけることになりかねません。

トビアス・エイドリアン金融資本市場局長による最新のブログ記事や、報告書全文記者会見の模様をご確認ください。

「国際金融安定性報告書」についてはファビオ・ナタルッチによる15分間のポッドキャストも公開されています。

明日の予定(48日木曜日)

10:30 AM - 11:00 AM: 国際通貨金融委員会(IMFC)の記者会見

スピーカー:クリスタリナ・ゲオルギエバ(IMF専務理事)、マグダレーナ・アンデション(国際通貨金融委員会議長)//モデレーター:ジェリー・ライス(IMFコミュニケーション局長)

11:00 AM - 11:45 AM: アナリティカル・コーナー セッション3 「デジタル化」

スピーカー:ディエゴ・セルデイロ(IMFアジア太平洋局)、アルパ・シャー(IMF財政局)、カタリナ・マルグリス(IMF法律局)

12:00 PM - 12:45 PM: IMFセミナー 「世界経済についての議論」

スピーカー:クリスタリナ・ゲオルギエバ(IMF専務理事)、ジェローム・パウエル(連邦準備制度理事会議長)、パスカル・ドノホー(アイルランド財務大臣)、ンゴジ・オコンジョ・イウェアラ(世界貿易機関事務局長)//モデレーター:サラ・エイゼンCNBC「クロージングベル」共同アンカー

昨日の振り返り

「世界経済見通し(WEO)」 最新報告書

「コロナ禍に入って1年が経つが、犠牲者数は増え、数百万人が失業したままで、世界は今なお苛烈な社会的、経済的ストレスに直面している。だが、パンデミックの今後の展開については不透明感が高い中にあっても、今般のコロナ禍と経済危機の出口が見えてきている」と、IMFチーフエコノミストのギータ・ゴピナート調査局長が最新版「世界経済見通し」にあわせて発表した新しいブログ記事に記しています。 

成長率の数字を確認すると、IMFでは現在、今年1月の予測よりも力強い世界経済の回復が見られると予測しています。2020年には推計でマイナス3.3%という歴史的な縮小がありましたが、世界経済の成長率は2021年に6.0%(0.5%ポイントの上方修正)、2022年に4.4%(0.2%ポイントの上方修正)になると予測されています。

記者会見の模様はこちらからご確認ください。また、最新の「世界経済見通し」もご高覧いただけますと幸いです。

グリーンで強靭で包摂的な未来

長期化するパンデミックによって世界経済は未曾有の打撃を被りました。そして、復興はペースが遅く、ばらつきがあるものになる可能性が高いでしょう。不利益と格差が深刻化しており、財源やネットワークを活用する上で障害がある貧しい人々、企業、国が最も大きなダメージを受けました。より持続可能で包摂的な世界経済システムの基盤を築く復興の加速とさらなる深化のために必要なのは何でしょうか?  

このテーマについて、デイビッド・マルパス世界銀行グループ総裁、クリスタリナ・ゲオルギエバIMF専務理事、ジャネット・イエレン米国財務長官が持続可能性、強靭性とイノベーション、包摂性の3つの観点から議論を行いました。こちらから映像でご確認ください。

新型コロナ危機の債務の罠を避ける

復興の差が拡大することを避けるために、債務の脆弱性に対処することがどのように重要かクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事が議論しました。このイベントに参加したパネリストはモハメド・エラリアン(ケンブリッジ大学クイーンズカレッジ学長)やベラ・ソンウェ(国連事務次長)です。より優れた債務枠組みや透明性を通じて債務リスクを抑える方法について、また、国際協調がどのように役立つか議論しました。 

ゲオルギエバ専務理事は「世界の政府債務が対GDP比で100%近くに達しており、先進国・地域の債務が一番大きく増加しているが、こうした国々は債務を抱える力もはるか大きい」と述べました。一方で新興市場国はファンダメンタルズが相対的に弱く、低所得国の財政余地はさらに限定的です。エラリアン氏はアフリカやアジアの一部諸国が「失われた10年」に直面するかもしれないと懸念を示しました。ソンウェ氏は「アフリカでは債務の罠だけでなく、貧困の罠の危険性も大いにある」と説明しました。議論はこちらで視聴できます。

コロナ禍からの復興に関する総裁との対話 

サウジアラビア中央銀行のファハド・ムバラク総裁との対話で、ムバラク総裁は政策による新型コロナ対策について「サウジアラビアに住む人には、サウジ人かどうかを問わず、ワクチンを提供した。保健について言えば、差など無いのです」と語りました。詳しくはこちらからご確認ください。

クロアチア国立銀行のボリス・ブイチッチ総裁との対話で、ブイチッチ総裁は新興市場国における資産買い入れプログラムに関して「資産買い入れプログラムが長期化するにつれて、こうした政策に政府と市場のどちらもが依存を強めるリスクが高まり、プログラム終了が難しくなる」と述べました。詳しくはこちらの映像でご確認ください。

 この他にもブラジル、タイ、スペイン、ブルキナファソの「総裁との対話」をご確認いただけます。

昨日以前の出来事

IMFのフィリップ・エングラーロベルト・ピアッツァゲーレン・シャーが発表した新しいブログ記事は、最新の「世界経済見通し分析章第4章に基づき、新興市場国への影響を考える上で、先進国・地域における金利上昇の背景にある理由が重要だと論じています。 

IMFのギヨーム・シャベールロバート・グレゴリーガエル・ピエールによる新しいブログ記事(日本語訳近日公表予定)では、新しい政策ペーパーに基づき、低所得国がパンデミック対応を拡充するためには2025年までに約2,000億ドルが必要となり、先進国との格差縮小を加速させるためにはさらに2,500億ドルが必要だと試算しています。くわえて、ベースラインシナリオで特定されたリスクが顕在化した場合には、1,000億ドルが追加で必要となります。 

COVAXファシリティのオレリア・グエン局長とIMFのサビナ・バーティア秘書局副局長がワクチン調達・供給の課題、世界中で公正なワクチン普及を実現するために必要な国際協力について議論しましたこのイベントをこちらから映像でご確認ください。

月曜日の「総裁との対話」では、ブルキナファソ経済・財政・開発大臣のラサネ・カボレ氏が「パンデミックの結果、公共サービスにおいてテレワークや、遠隔での税申告・決済が業務慣行の一部となった」と語りました。スペイン副首相兼経済・デジタル変革大臣のナディア・カルビーニョ氏は「男女平等が最重要課題であるべきで、公平さだけがその理由ではない。1人残さず誰もが才能を発揮することが可能になれば潜在成長のギャップを縮められるだろうからだ」と述べました

月曜日にIMF理事会は適格国である低所得国28か国を対象として10月15日まで債務返済猶予を延長しました。債務返済猶予は、コロナ禍対策支援として、対象国が貴重な財的資源を必須の緊急医療や社会・経済支援に活用することを後押しします。 

先週の振り返り

フェデリコ・J・ディエスロマン・デュバルニコラ・ピエリキアラ・マッジ新しいブログを発表しました。IMF職員による新しい研究に基づき、本ブログの共著者は「今般のパンデミックで中小企業がとりわけ大きな打撃を受けている。ホテル、レストラン、エンターテインメントなど対人接触の多い部門の一部では中小企業が圧倒的に多いのがその一因だ」と述べています。また、「政策当局者は斬新な措置を迅速に講じて企業倒産の波を緩和しなくてはならない」とも提言しています。

クリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事が外交問題評議会主催のイベントに登場し、ファリード・ザカリア氏の司会の下で世界経済の未来について議論し、春季会合の大枠を提示しました。講演全文をご高覧いただくか、60分間の議論の映像をご確認ください。

最新の「世界経済見通し」の分析章第2章に基づくブログをご確認ください。このブログでは、危機がもたらす経済的な後遺症をどのように時間をかけて癒すことができるかを論じています。同報告書の分析章第3章に基づくブログ記事は、政策を通じて、パンデミックが労働者に及ぼした深刻かつ偏りのある影響をいかに緩和しうるか検討しています。

また、「国際金融安定性報告書」分析章についてのブログ記事もご確認ください。分析章第2章に基づくブログ記事では、経済危機を受けた金融環境の緩和がレバレッジ(借り入れ能力)蓄積を加速させる傾向にあり、後日、問題を生じさせかねないと説明しています。一方、分析章第3章に基づくブログ記事では、パンデミック下での在宅勤務へのシフトが商業不動産市場の見通しを不透明にし、金融安定性を潜在的に脅かしかねないと述べています。 

最後になりますが、本日公表の「財政モニター」にあわせて、最新の分析章に基づくブログ記事をご確認ください。同記事によるとコロナ禍前から存在した格差が保健危機の影響を深刻化させた要因と見られています。

先週1週間の総まとめはこちらからご確認ください

60秒の簡単なアンケートのお願い

春季会合と本ニュースレターの情報は、これまでのところ、いかがでしょうか?ご意見・ご感想をお伺いできると嬉しく思います。短いアンケートをご用意しましたので、よろしければご入力ください。コメントを拝見し、今後の春季会合運営や情報発信の参考にさせていただきます。

 

敬具

IMF2021年春季会合チーム

 


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