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皆さま
国際通貨基金(IMF)2021年春季会合開催にあたり、ニュースレターの4月5日号をお届けします。
今号では、スペインにおけるコロナ禍からの脱却とブルキナファソにおけるデジタル化に関する総裁との対話、社会的保護に関するIMFの取り組みに焦点を当てた能力開発トーク、そしてアジアにおける金融安定性やラテンアメリカの労働市場などパンデミックからの復興に関連する一連の問題を取り上げるアナリティカル・コーナーの第1回目にスポットライトをあてます。それでは、下記をご確認ください。
春季会合をお楽しみいただいていますか?ニュースレターの内容はお役に立っていますか?ご意見をお聞かせください。
今日のラインアップ(4月5日月曜日)
スピーカー:ナディア・カルビーニョ(スペイン副首相兼経済・デジタル変革大臣) モデレーター:アルフレッド・カマー(IMF欧州局長)
スピーカー:ラサネ・カボレ(ブルキナファソ経済・財政・開発大臣) モデレーター:アベベ・アムロ・セラシ(IMFアフリカ局長)
スピーカー:アントワネット・セイエ(IMF副専務理事)、フェルナンダ・ブロッロ(IMFシニアエコノミスト)、ブルックス・エバンス(IMFエコノミスト)、タニア・グッドウィン(世界銀行グループ・シニアカントリーエコノミスト)、サニア・ニシュタル(パキスタン貧困削減・社会的安全担当首相特別補佐官) モデレーター:ロジャー・ノード(IMF能力開発局副局長)
スピーカー:エステル・リュー(IMF欧州局)、カリム・フォダ(IMF欧州局)、イウリア・テオドル(IMF中東中央アジア局)、ディエゴ・ゴメス(IMF戦略政策審査局)、マリナ・M・タバレス(IMF調査局)、カルロ・ピッツィネッリ(IMF西半球局)、ホルヘ・アルバレス(IMF西半球局)
冒頭挨拶:クリスタリナ・ゲオルギエバ(IMF専務理事) スピーカー:オレリア・グエン(COVAXファシリティ局長) モデレーター:サビナ・バーティア(IM秘書局副局長)
明日の予定(4月6日火曜日)
スピーカー:ファハド・ムバラク(サウジアラビア中央銀行総裁) モデレーター:ジハド・アズール(IMF中東中央アジア局長)
スピーカー:ボリス・ブイチッチ(クロアチア国立銀行総裁) モデレーター:アルフレッド・カマー(IMF欧州局長)
スピーカー:ロベルト・デ・オリベイラ・カンポス・ネト(ブラジル中央銀行総裁) モデレーター:アレハンドロ・ウェルナー(IMF西半球局長)
スピーカー:ギータ・ゴピナート(IMFチーフエコノミスト兼調査局長)、ペチヤ・コエバ・ブルックス(IMF調査局副局長)、マルハール・ナバール(IMF調査局課長) モデレーター:ラファエル・アンスパッチ(IMFシニアコミュニケーションオフィサー)
スピーカー:ローラ・ゴアズ(IMFエコノミスト)、フアンパブロ・ゲレロ(財政透明性グローバル・イニシアティブネットワーク ディレクター)、ロクサーナ・メラニ・ロドリゲス(ホンジュラス財務・予算副大臣)、ヘラルド・ウーニャ(IMFシニアエコノミスト) モデレーター:マルタン・コードロン(IMFコミュニケーションオフィサー)
スピーカー:トビアス・エイドリアン(IMF金融顧問兼金融資本市場局長)、ファビオ・ナタルッチ(IMF金融資本市場局副局長)、エバン・パパゲオルギオ(IMF金融資本市場局課長補佐) モデレーター:ランダ・エルナガー(IMFシニアコミュニケーションオフィサー)
スピーカー:クリスタリナ・ゲオルギエバ(IMF専務理事)、モハメド・エラリアン(ケンブリッジ大学クイーンズカレッジ学長)、ベラ・ソンウェ(国連事務次長兼アフリカ経済委員会事務局長) モデレーター:マーティン・ウルフ(フィナンシャル・タイムズ紙チーフ・エコノミクス・コメンテーター)
スピーカー:セタプット・スティワートナルプット(タイ銀行総裁) モデレーター:ケネス・カン(IMFアジア太平洋局副局長)
中小企業の支払い能力
フェデリコ・J・ディエス、ロマン・デュバル、ニコラ・ピエリ、キアラ・マッジが新しいブログ(日本語訳近日公表予定)を発表しました。共著者によると、今般のパンデミックで中小企業がとりわけ大きな打撃を受けています。ホテル、レストラン、エンターテインメントなど対人接触の多い部門の一部では中小企業が圧倒的に多いのがその一因です。結果として多くの先進国は、企業の清算が相次いで何百万人もの雇用の破壊、金融制度の毀損、ただでさえ弱々しい景気回復の鈍化につながるというリスクに瀕しています。政策当局者は斬新措置を迅速に講じてこの波を緩和しなくてはなりません。
融資や信用保証や債務返済猶予を通じた潤沢な流動性支援により、多くの中小企業が当面は破産リスクを免れました。しかしながら、流動性支援では支払い能力の問題には対処できません。企業が赤字を累積して事業継続のために借り入れをしていくと、返済能力をはるかに上回る債務を抱えるという支払い不能(インソルベンシー)状態に陥るおそれがあります。
IMF職員による新たな研究でこの支払い能力リスクを定量化したところ、憂慮すべき結果が出ています。欧州とアジア太平洋地域の先進国が大部分を占める20か国で、2021年に支払い不能となる中小企業の割合は、パンデミックのために10%から16%に増加すると予測されています。この増加の大きさは2008年世界金融危機から5年間の企業清算の増加に匹敵するものになると思われますが、それよりもずっと短期間に発生することになりそうです。予測される企業の支払い不能によって、中小企業が雇用する労働者の10%を超える約2,000万人の雇用が危険にさらされます。これは、この分析の対象国で現在失業している人の数とほぼ同じです。
力強い復興を確実に実現するために先進国・地域の政府は中小企業が抱えているストレスのリスクに対処する必要があります。継続的な流動性支援、準資本の投入、再編の仕組みの強化を組み合わせれば、この目的を果たすのに大いに役立つでしょう。ブログ全文で詳細をご確認ください。
債務救済に対する世界銀行とIMFの支持
最新のペーパーにおいて、国際開発協会(IDA)借入国における財政と債務のストレスに対処することへの世界銀行とIMFの支持について議論しています。そこでは、環境に配慮し強靭で包摂的な開発のための潤沢な譲許的資金の流れを維持することに力点が置かれています。本ペーパーでは、債務返済猶予イニシアティブ(DSSI)を2021年末までさらに延長することに関する世界銀行とIMFのG20に対する提言や、DSSI以外にもG20の「債務処理のための共通枠組み」を実施しその利益を最大化する上でIMFと世界銀行が果たす役割、そしてその他の補完的行動について焦点を当てています。
先週の振り返り
春季会合に先立って、クリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事が外交問題評議会主催のイベントに登場し、ファリード・ザカリア氏の司会の下で世界経済の未来について議論し、会合の大枠を提示しました。専務理事は「誰もが公平な機会を得られるようにする」ことに焦点を当て、「コロナ禍に終止符を打ち再発させないように、どの場所でも公平なワクチン接種を行い、また、誰もが恩恵を受けられる持続可能な復興への道を切り開くために貧困層や貧しい国々がより良い未来へと進めるようにチャンスを提供すべき」だと語りました。講演全文をご高覧いただくか、60分間の議論の映像をご確認ください。
最新版「世界経済見通し」の第2章(英語)に基づく新しいブログ記事でソナリ・ダスとフィリップ・ウィンジェンダーは「世界経済が新型コロナのショックから回復する中で以前の予想を上回る成長率が実現されているものの、中期的に見た場合、私たちは2024年の世界GDPがパンデミック前の予測を約3%下回ると予想している」と記述しています。金融の安定性が大方維持されていることから、現在予想されている危機の「後遺症(scarring)」は世界金融危機後に見られたものよりも小さくなっています。 ソナリ・ダスとフィリップ・ウィンジェンダーがこのテーマについてCNBCのシルヴィア・アマロ氏と行った議論を映像(英語)でご確認ください。
最新のIMF「世界経済見通し(WEO)」の分析章第3章に基づく新しいブログ記事において、ジョン・ブルードーンは、パンデミックの深刻かつ偏りのある影響を政策によっていかに緩和しうるかについて、IMFが検討を行っている点に触れています。その結果わかったのは、パンデミックからのショックが継続している間、労働者の雇用維持を助けるために一連の対策を行い、その上で、パンデミックが収束するにつれて雇用創出を奨励したり新たな仕事や職種への適応を支援したりする措置と組み合わせることで、悪影響を大幅に緩和して労働市場の回復をより力強いものにできるということです。 このテーマに関して行われたジョン・ブルードーンとワシントン・ポスト紙のヘザー・ロング氏との対談をご確認ください。
IMF「国際金融安定性報告書(GFSR)」の分析章第2章に基づく新しいブログ記事において、アドルフォ・バラハスとファビオ・ナタルッチは、金融環境の緩和がレバレッジ拡大を加速させる傾向にあることが明らかになったと述べています。このことは、緩和的な金融環境が短期的には成長を加速させる一方で中期的には経済成長の低下リスクを増大させることを理由に生じる異時点間の難しい政策トレードオフを一層複雑化することになります。マクロプルーデンス政策は、レバレッジの拡大を抑えるとともに強靭性を高め、将来の金融安定性リスクを軽減することを可能にします。
IMF「国際金融安定性報告書(GFSR)」の分析章第3章に基づき、アンドレア・デギとファビオ・ナタルッチが新しいブログ記事を公表しました。著者によると、eコマースが好まれ従来の実店舗型の小売りに対する需要が低下したり、在宅勤務が推進されるにつれてオフィス需要が減ったりという傾向が見られており、最新のIMFの研究では、こうした傾向が商業不動産市場の見通しを不透明にしたことが判明しています。こうした傾向は商業不動産市場を混乱させる可能性があり、金融安定性をも脅かしかねません。 このテーマに関しては、ファビオ・ナタルッチとアンドレア・デギがCNBCのシルヴィア・アマロ氏と行った20分間のディスカッションもご確認ください。
「財政モニター」の新しい分析章に基づく最新のブログ記事において、ダビッド・アマグロベリとヴィトール・ガスパール、パオロ・マウロは、格差が存在したことが新型コロナの影響を悪化させる条件となったと述べています。基本的なサービスへのアクセスに格差があることが、健康状態に差が出る一因となっているのです。IMFの新しい研究によれば、医療へのアクセスを病床数で間接的に測ったところ、医療へのアクセスが悪い国では新型コロナウイルス感染症による死亡率が、感染者数や年齢構成から予測される死亡率よりも高くなっています。同様に、IMFの分析は、相対的貧困率が高い国でも感染率と死亡率が共に高くなっていることも示しています。ブログ記事をご高覧いただくか、本章の概要もしくは全文をご確認ください。 また、これらのテーマに関して行われたパオロ・マウロとエコノミスト誌のヘンリー・カー氏との10分間の対話もご確認ください。
ベルリンの壁崩壊、アラブ騒乱の余波、ラテンアメリカにおける最近の抗議運動など、過去に起こった経済・政治・社会の変容から、どのような地域横断的な視点が得られるでしょうか。これらの出来事から、新たな社会契約を支えるための諸改革を前に進める方法に関して、政策担当者は何を学ぶことができるでしょうか。IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事およびジハド・アズール中東中央アジア局長、アレハンドロ・ウェルナー西半球局長は、エリック・ベルグレーフ氏やマウリシオ・カルデナス氏、マルワン・ムアッシャル氏、ネマト・シャフィク氏をはじめとする中東・ラテンアメリカ・欧州の高名な専門家らとともに、各国がコロナ禍を自国経済の総点検の機会として活かし、経済をよりスマートかつ公正で、より環境にやさしく、より多くの雇用創出をもたらすものとするにはどうすればよいかについて議論しました。この60分間の議論は、こちらからご覧いただけます。
先週1週間の総まとめはこちらからご確認ください。
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敬具
IMF2021年春季会合チーム
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