ウィークエンドリード 2021年春季会合サマリー

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皆さま

 

春季会合ニュースレターを毎日お届けするのも今日で最後です。この最終号では、週末の「ウィークエンドリード」を兼ねて、2021年春季会合のこれまでの内容をまとめたいと思います。

この号では、デジタル決済システムに関する能力開発トークと気候変動を検討するアナリティカル・コーナーを取り上げます。くわえて、春季会合の主要な報告書、イベント、出来事についてまとめたいと思います。それでは、下記をご確認ください。

ところで、本題に入る前にお願いです。たった60秒で入力できるアンケートを使って春季会合や本ニュースレターでの情報発信についてご感想をお聞かせいただけますか?ご意見を今後のイベントや情報提供の参考にさせていただきます。

 

今日のラインアップ49日木曜日)

10:00 AM - 10:45 AM: 能力開発トーク 「安全で効率的で包摂的なデジタル決済システム

スピーカー:デアク・ヤン・フロルマン(IMFシニア金融セクターエキスパート)、タナイ・キアナロン(IMFシニア金融セクターエキスパート)//モデレーター:アン・マルグレット・ヴェスティン(IMF能力開発局課長補佐)

11:00 AM - 11:45 AM: アナリティカル・コーナー セッション4 「気候変動」

スピーカー:デイビッド・コルビノ(IMFアジア太平洋局)、クリスチャン・アロンソ(IMF財政局)、鄭天梟(ティアンシャオ・ツェン)(IMF戦略政策審査局)、パオラ・モラレス・アセべド(IMF金融資本市場局)、マクシム・イバニナ(IMF能力開発局)

 

ワクチン政策こそ経済政策

IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は「今年と来年、危機からの復興を確実にするために、ワクチン政策の優先度が伝統的な財政政策・金融政策のツールよりも高くなる」と強調しました。木曜日に行われたイベントで、専務理事は「ワクチン政策なしに世界経済の運命を変えることはできない」と語ったのです。本イベントには米連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長、アイルランドのパスカル・ドノホー財務大臣、世界貿易機関(WTO)のンゴジ・オコンジョ・イウェアラ事務局長が参加しました。

パウエル議長は、米国経済が世界の復興をけん引しているものの、危機によって所得が少ない労働者に負担が生じており、所得下位25%の人々の失業率が今も20%だと認識しています。

そして、「ウイルスには国境が関係なく、世界全体にワクチン接種が普及するまで、新しい変異株が生じるリスクがあり、世界中で心から安心して活動を再開できる状態にはならない」と述べました。

イウェアラ事務局長は低所得国でのワクチン接種が世界の0.1%のみである状態が続くと世界が集団免疫を獲得するまでにかなり長く時間がかかるだろうと警鐘を鳴らしました。ワクチン生産・供給の拡大が非常に重要となっています。

「迅速に行動しないと、ワクチン接種が普及した低所得国以外の国々もせっかくの成果が台無しになってしまうかもしれない」と事務局長は話しました。

このイベントの模様はこちらからご確認ください。

 

復興におけるIMFの役割を支える

国際通貨金融委員会(IMFC)は、グローバル金融セーフティネットの中心にあり、強固で、クォータを基礎とし、かつ、十分な資金基盤を有するIMFへのコミットメントを再確認しました。木曜日に行われた6か月に1回の会合で、危機から確実に抜け出すため、政策を策定し、協力を強化することを国際通貨金融委員会は誓いました。

国際通貨金融委員会の議長を務めるスウェーデンのマグダレーナ・アンデション財務大臣は「IMFがグローバル金融セーフティネットの中心で重要な役割を果たせるように機関として十分な資金力を保持できるようにするコミットメントが存在している」と語りました。

国際通貨金融委員会はIMFに対し、透明性と説明責任を強化しつつ、準備資産を補充する全体的かつ長期的な必要性に応じるため、6,500億ドル相当の特別引出権(SDR)の新たな一般配分について包括的な提案を行うよう求めました。

IMFのゲオルギエバ専務理事は「世界経済の基盤は安定化しつつあるが、数多くの課題が残っている。その多くは国際協調の強化を通じてしか克服できない」と述べました。

第43回国際通貨金融委員会(IMFC)コミュニケをご確認ください。また、記者会見の模様はこちらからご覧いただけます。

 

公開された旗艦報告書

世界経済見通し

「コロナ禍に入って1年が経つが、犠牲者数は増え、数百万人が失業したままで、世界は今なお苛烈な社会的、経済的ストレスに直面している。だが、パンデミックの今後の展開については不透明感が高い中にあっても、今般のコロナ禍と経済危機の出口が見えてきている」と、IMFチーフエコノミストのギータ・ゴピナート調査局長が新しいブログ記事に記しています。また、経済の回復についても各国間および各国内で危険なほどの差が開きつつあります。ワクチン普及が遅かったり、政策支援がより限定的であったり、観光依存度が高かったりする国では復興が順調には進んでいないからです。記者会見の模様はこちらからご確認ください。また、最新の「世界経済見通し」もご高覧いただけますと幸いです。本報告書については、マルハー・ナーバーによるポッドキャストもご用意しました。

最新の「世界経済見通し」の分析章第2章に基づくブログをご確認ください。このブログでは、危機がもたらす経済的な後遺症をどのように時間をかけて癒すことができるかを論じています。同報告書の分析章第3章に基づくブログ記事は、政策を通じて、パンデミックが労働者に及ぼした深刻かつ偏りのある影響をいかに緩和しうるか検討しています。

 

国際金融安定性報告書(GFSR)

世界の各市場は米国における目下の長期金利上昇を注視しており、金利が大きく上昇し続ける場合には金融環境のタイト化につながり、成長見通しを損なう恐れがあることを懸念しています。米国における金利上昇がワクチン接種の見通しが改善していることと、成長率と物価上昇率が上向いていることにも起因しているというのは朗報です。良くない知らせは、この金利上昇が金融政策の方向性をめぐる不確実性と、恐らくはタームプレミアム(投資家が得る金利リスクの対価)の急上昇に表れているように米国で財政拡大を賄うための国債供給が増加することへの投資家の懸念を反映している可能性があるということです。トビアス・エイドリアン金融資本市場局長による最新のブログ記事や、報告書全文記者会見の模様をご確認ください。「国際金融安定性報告書」についてはファビオ・ナタルッチによる15分間のポッドキャストも公開されています。

また、「国際金融安定性報告書」分析章についてのブログ記事もご確認ください。分析章第2章に基づくブログ記事では、経済危機を受けた金融環境の緩和がレバレッジ(借り入れ能力)蓄積を加速させる傾向にあり、後日、問題を生じさせかねないと説明しています。一方、分析章第3章に基づくブログ記事では、パンデミック下での在宅勤務へのシフトが商業不動産市場の見通しを不透明にし、金融安定性を潜在的に脅かしかねないと述べています。

 

財政モニター

ヴィトール・ガスパール財政局長は「ワクチンの世界的な普及は史上最大のリターンをもたらす公共プロジェクトとなりうるかもしれない」と語りました。

ガスパール財政局長とIMFの林衛基(ラファエル・ラム)、パオロ・マウロメディ・ライシ新しいブログ記事を公表しています。本ブログでは「ワクチン接種を通じて世界的なパンデミックが制御されれば、結果的に経済成長の加速によって先進国では2025年までに累計で1兆ドルを超える追加税収が得られるほか、財政支援策の面でそれ以上の節約が可能となる」と記述されています。新型コロナのワクチン接種はコストを上回る利益を生み出すことになり、それに投じられた公的資金は大きな価値を生むことになります。報告書全文記者会見を是非、ご確認ください。

財政モニター」公表にあわせて、最新の分析章に基づくブログ記事をご確認ください。同記事によるとコロナ禍前から存在した格差が保健危機の影響を深刻化させた要因と見られています。

 

持続可能な復興のためのIMF能力開発

2021年の春季会合で行われたIMFによる能力開発に関するイベントでは、社会的保護に対するIMFの取り組みについて紹介が行われました。特に焦点が当てられたのはエクアドルとパキスタンにおける社会セーフティネットの強化です。また、新型コロナ危機に関連した財政の透明性と説明責任を促進するデジタルプラットフォームにつていて、フランス語圏アフリカとホンジュラスに重点を置いた解説がなされました。デジタル決済や、包摂的成長についてのセッションも行われました。最後の点については、IMFが新しいインタラクティブな研修コースを開始する予定です。5月25日までに参加をご登録ください。

コロナ禍に対策を講じ、持続可能な復興を促進するための支援を行う上でIMFやパートナーがどのように能力開発を行っているかさらに詳しく知りたいとお考えでしたら、最新のインフォグラフィックスや、世界中の地域能力開発センターが行っている活動についての新しいパンフレット、IMF能力開発パートナーシップについての最新情報をご確認ください。ゲオルギエバ専務理事、IMFのパートナー機関や能力開発を活用した機関の代表が参加したイベントの映像もご確認いただけます。このイベントで参加者は復興の加速を促進するために力を合わせることの重要性を考えます。また、IMFのアントワネット・セイエ副専務理事が4月13日にハイレベルの会合の議長を務めます。この会合は新型コロナ対策イニシアティブを含めて能力開発需要の急増への対応を支えることを目的としています。

 

今後1週間の予定

411日(日曜日)

7:00 AM - 7:45 AM: IMF記者会見 中東中央アジア局

スピーカー:ジハド・アズール(IMF中東中央アジア局長)//モデレーター:ワファ・アマー(IMFシニアコミュニケーションオフィサー)

412日(月曜日)

7:00 AM - 8:30 AM: 「パンデミックの先へ 中東・北アフリカにおける未来を見据えた復興」

スピーカー:ジハド・アズール(IMF中東中央アジア局長)、ファディ・ガンドゥール(ヨルダン、ワムダグループ会長)、サラ・アルスハイミ(サウジアラビア証券取引所会長)、イブラヒム・エルバダウィ(エジプト経済研究フォーラム所長)//モデレーター:ジョン・デフテリオス(CNNビジネス、新興市場エディター・アンカー)

11:00 AM - 12:00 PM: 「『領収書をとっておく』の先へ ガバナンス課題とコロナ緊急融資の教訓

スピーカー:ジェフリー・オカモト(IMF筆頭副専務理事)、サウサン・ガライベア(ラシード(トランスペアレンシー・インターナショナル・ヨルダン)会長)、ギザール・ハレス(アフガニスタン・イスラム共和国オンブズマン)、ドンド・モハジャニ(南アフリカ財務省事務次官)//モデレーター:ローダ・ウィークス・ブラウン(IMF法律顧問兼法律局長)

413日(火曜日)

9:00 AM - 9:45 AM: IMF記者会見 アジア太平洋局

スピーカー:ジョナサン・D・オストリー(アジア太平洋局副局長)//モデレーター:宇都宮敬子(IMFシニアコミュニケーションオフィサー)

11:00 AM - 12:00 PM: イン・カンバセーション ゲオルギエバ専務理事とパオロ・ジェンティローニ欧州委員の対話

スピーカー:クリスタリナ・ゲオルギエバ(IMF専務理事)、パオロ・ジェンティローニ(経済担当欧州委員)

414日(水曜日)

7:30 AM - 8:30 AM: コーカサスおよび中央アジアにおけるコロナ後の経済課題と機会

スピーカー:ジハド・アズール(IMF中東中央アジア局長)、ナテラ・トゥルナヴァ(ジョージア経済・持続的発展大臣)、ティムール・イシュメートフ(ウズベキスタン財務大臣)、ペテル・ブリアン(欧州連合中央アジア特別代表)//モデレーター:ナスターシア・アストラシェスカーヤ

9:00 AM - 9:45 AM: IMF記者会見 欧州局

スピーカー:アルフレッド・カマー(IMF欧州局長)//モデレーター:ミーラ・ルイス(IMFコミュニケーションオフィサー)

415日(木曜日)

7:00 AM - 7:45 AM: IMF記者会見 アフリカ局

スピーカー:アベベ・アムロ・セラシ(IMFアフリカ局長)//モデレーター:アンドリュー・カニエギリレ(IMFシニアコミュニケーションオフィサー)

1:00 PM - 1:45 PM: IMF記者会見 西半球局

スピーカー:アレハンドロ・ウェルナー(IMF西半球局長)、モデレーター:マリア・カンディア・ロマノ(コミュニケーションオフィサー)

来週のウィークエンドリードでこれらイベントについてご報告します。

 

ここ1週間のハイライト

国連気候行動・金融担当特使のマーク・カーニー氏とインドネシアのスリ・ムルヤニ・インドラワティ財務大臣が本イベントに参加し、適切な施策を講じることで、環境に配慮した経済への移行が世界経済を生まれ変わらせる上で、また、持続可能な開発目標を達成したり貧困を削減したりする上で、最大の機会のひとつとなりうる方法について検討しました。このイベントの模様はこちらからご確認ください。

より持続可能で包摂的な世界経済システムの基盤を築く復興の加速とさらなる深化のために必要なものについて、デイビッド・マルパス世界銀行グループ総裁、クリスタリナ・ゲオルギエバIMF専務理事、ジャネット・イエレン米国財務長官が議論しました。こちらから映像でご確認ください。

復興の差が拡大することを避けるために、債務の脆弱性に対処することがどのように重要かクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事が議論しました。このイベントに参加したパネリストはモハメド・エラリアン(ケンブリッジ大学クイーンズカレッジ学長)やベラ・ソンウェ(国連事務次長)です。より優れた債務枠組みや透明性を通じて債務リスクを抑える方法について、また、国際協調がどのように役立つか議論しました。議論はこちらで視聴できます。 

IMFのフィリップ・エングラーロベルト・ピアッツァゲーレン・シャーが発表した新しいブログ記事は、最新の「世界経済見通し分析章第4章に基づき、新興市場国への影響を考える上で、先進国・地域における金利上昇の背景にある理由が重要だと論じています。 

IMFのギヨーム・シャベールロバート・グレゴリーガエル・ピエールによる新しいブログ記事(日本語訳近日公表予定)では、新しい政策ペーパーに基づき、低所得国がパンデミック対応を拡充するためには2025年までに約2,000億ドルが必要となり、先進国との格差縮小を加速させるためにはさらに2,500億ドルが必要だと試算しています。くわえて、ベースラインシナリオで特定されたリスクが顕在化した場合には、1,000億ドルが追加で必要となります。 

COVAXファシリティのオレリア・グエン局長とIMFのサビナ・バーティア秘書局副局長がワクチン調達・供給の課題、世界中で公正なワクチン普及を実現するために必要な国際協力について議論しましたこのイベントをこちらから映像でご確認ください。

今週火曜日、「総裁との対話」で、サウジアラビア中央銀行のファハド・ムバラクムバラク総裁は政策による新型コロナ対策について「サウジアラビアに住む人には、サウジ人かどうかを問わず、ワクチンを提供した。保健について言えば、差など無いのです」と語りました。詳しくはこちらからご確認ください。クロアチア国立銀行のボリス・ブイチッチ総裁は、新興市場国における資産買い入れプログラムに関して「資産買い入れプログラムが長期化するにつれて、こうした政策に政府と市場のどちらもが依存を強めるリスクが高まり、プログラム終了が難しくなる」と述べました。詳しくはこちらの映像でご確認ください。この他にもブラジル、タイ、スペイン、ブルキナファソの「総裁との対話」が行われました。

アナリティカル・コーナーのデジタル化を重点的に取り上げた回では、IMFアジア太平洋局のディエゴ・セルデイロがテクノロジー面でのデカップリング(切り離し)がどのような経路を通じて経済成長に悪影響をもたらしうるのか議論し、可能性がある様々なデカップリングのシナリオに基づいて試算を提示しました。IMF財政局のアルパ・シャーはデジタルサービス税の経済的な理論的根拠と影響について話しました。IMF法律局のカタリナ・マルグリスは中央銀行デジタル通貨の法的な土台について焦点を当てました。プレゼンテーションはこちらで視聴できます。

最後になりますが、月曜日にIMF理事会が適格国である低所得国28か国を対象として10月15日まで債務返済猶予を延長しました。債務返済猶予は、コロナ禍対策支援として、対象国が貴重な財的資源を必須の緊急医療や社会・経済支援に活用することを後押しします。

 

60秒の簡単なアンケートのお願い

2021年春季会合と本ニュースレターでの情報発信について、ご感想、ご意見をお聞かせください。担当者が直接、こちらの簡単なアンケートにご入力いただいた内容を拝見させていただきます。コメントを拝見し、今後の春季会合運営や情報発信の参考にさせていただきます。

 

敬具

IMF2021年春季会合チーム

 


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