2020年年次総会 10月9日ブリーフィング

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皆さま

IMFが毎週末にお送りしているウィークエンド・リードの特別版として、2020年年次総会の特集をお届けします。今日は、クリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事の開幕スピーチや、IMF腐敗対策チャレンジなどを含め、今週末までの1週間を振り返ります。また、本日開催される市民社会タウンホールミーティングにもスポットライトを当て、最新の情報をお届けして皆さまの予定に入れていただけるよう、来週開催の主要イベントについても取り上げます。それでは始めましょう。

今日の予定

米国東部標準時(夏時間)午前8:00ゲオルギエバ専務理事を迎えた市民社会組織(CSO)タウンホールミーティング

ゲオルギエバ専務理事とバーチャル形式の市民社会タウンホールに参加しませんか。専務理事は、コロナ禍においてIMFがどのように加盟国を支援しているのかについて、また、よりグリーンかつ公平でスマートな経済の構築におけるIMFの役割について、さらに腐敗や所得格差、男女格差、気候変動といった問題について、世界各地の市民社会組織(CSO)から意見を聞くとともに質問に答えます。このイベントは、IMFライブ配信にて英語、フランス語、アラビア語、スペイン語で視聴できます。

今週の出来事

長い登り道

今週前半、ゲオルギエバ専務理事は来週の年次総会に先立って開幕スピーチを行いました。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)とのイベントで専務理事は、「私がお伝えしたい重要ポイントは『世界経済は危機の谷底から戻ってきているが、この災難が終わったとはまだ全然言えない』ということです。どの国も今、『長い登り道』とでも呼べる状況に直面しています。長く、ばらつきが大きく、不確実なものとなるだろう困難な道を登っていくことになるのです。また障害も生じがちでしょう」と述べていますスピーチの全文はこちらで、ハイライトの動画(英語)はこちらでご確認ください。

またゲオルギエバ専務理事は今週、CNBCのサラ・アイゼン氏のインタビューを受け、その中で市場と実体経済の乖離についても説明しています。

地球の気候を守る

IMFは、「世界経済見通し(WEO)」から分析をまとめた2つの章を新たに発表しました。そのうち1つの章ではIMF職員が、世界が新型コロナ危機からの復興を模索する中にあっても、経済政策ツールによって2050年までに排出量実質ゼロに向けた道筋をつけることができると述べています。この章は、経済成長や雇用や所得の平等を下支えするようなかたちでそうした政策を推し進めていくことが可能だと示しています。

経済政策は、主に2つの方向から気候変動への対処に役立つ可能性があります。エネルギー源には高排出量と低排出量のものがあり、その構成比に影響を及ぼすという方向と、総エネルギー消費量に影響を与えるという方向です。種々の政策の費用と効果は、それらの政策がこの異なる方向をどう利用するかによって決まります。例えば、炭素税によって炭素排出量の多い燃料がより高価になることから、炭素税はエネルギー消費者がより環境に配慮した燃料へと消費を移行させるインセンティブとなります。全体としてエネルギーがより高価になるため、総エネルギー消費量も減ります。炭素価格の引き上げ、グリーンな刺激策、脆弱世帯への補償が排出量削減政策戦略の3本柱となるのです。主要部分はこちらのブログ記事全文で、詳細は第3章全文(英語PDF)をダウンロードしてご確認ください。

大封鎖の経済的影響

最新の「世界経済見通し(WEO)」の別の章では、パンデミックの最初の7か月における経済危機の性質をIMF職員が詳細に分析しています。その分析では、ロックダウン措置の導入は景気後退の重要な要因となったものの、感染拡大に対応しての自発的な社会的距離確保もまた経済の縮小に大きく影響したことが明らかになっています。したがって、ロックダウン措置の緩和が部分的な回復につながるかもしれないとはいえ、公衆衛生危機が収束するまで経済活動は引き続き精彩を欠く可能性が高くなっています。主要部分はこちらのブログ記事全文で、詳細は第2章全文(英語PDF)でご確認ください。

これらの話題については、CNBCインターナショナルのシルビア・アマロ氏がIMFのダミアーノ・サンドリをインタビューしています。13分間の対談をこちらからご確認ください。

腐敗と闘う

IMF腐敗対策チャレンジの勝者に対する祝辞も述べておきたいと思います。審査員たちの賛同を得た4つのプロジェクトは、財政ガバナンスと経済成長の向上にビッグデータを活用するプロジェクト、受益所有権と財務開示データをクロスマッチングして危険信号を特定するプロジェクト、ブロックチェーンを駆使して賃金支払い実務の透明性を高めるプロジェクト、ブラジルのハイリスク企業の受益所有権の検知を最適化するプロジェクトでした。チャレンジ、勝者、審査員などについてはこちらのサマリー(英語PDFファイル)をダウンロードしてご確認ください。こちらでプレゼンテーションイベントの模様もご覧いただけます。

復興に向けた公共投資

IMF「財政モニター」の最新章では、先進国と新興市場国で公共投資を拡大することが、現代史上最も急激で深刻な世界経済の崩壊から景気が回復する一助となりうることが示されています。公共投資の拡大は、短期的には何百万もの雇用を直接創出し、より長期的にはさらに数百万件の雇用を間接的に創出することにもつながる可能性があります。公共投資を対GDP比で1%拡大する場合、投資の質が高く、また、公的・民間部門の既存の債務負担によって景気刺激策に対する民間部門の反応が弱められることがなければ、景気回復への信頼が強化され、GDPが2.7%押し上げられるとともに、民間投資が10%拡大し、雇用が1.2%増加する可能性があります。ブログ記事の全文はこちらでご確認ください。

さらに、今週前半に行われた15分間の対談で、パオロ・マウロIMF財政局副局長がウォール・ストリート・ジャーナル紙のジョシュア・ザンブラン氏に対して、各国政府が公共投資を通じてどのように雇用と成長を押し上げられるか概説しています。

データの男女格差を解消する

昨日、「Invisible Women: Exposing Data Bias in a World Designed for Men(見えない女性たち男性向けにデザインされた世界のデータバイアスを暴く)」の著者キャロライン・クリアド・ペレズ氏がIMFのサビーナ・バティアと対談し、職場でも家庭でも政策でもデータの男女格差が悪影響を及ぼしていることや、新型コロナウイルスのパンデミックが男女格差を一層深刻化させていることについて話し合いました。クリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事による冒頭の挨拶もありました。活発な討論の模様はこちらで視聴できます。

来週の予定

来週IMFは、最新の「世界経済見通し(WEO)」「国際金融安定性報告書(GFSR)」「財政モニター」を発表します。

また、主要イベントとして以下のセミナーが予定されています。

また、欧州中央銀行のクリスティーヌ・ラガルド総裁、ウルグアイのアズセナ・アルビレッチェ経済財務相、アンゴラのベラ・デーブス財務相、インドネシア銀行のペリー・ワルジヨ総裁、モロッコのモハメッド・ベンシャーブン経済財政相をゲストに迎えて、IMF職員と1対1でディスカッションするイベントも予定されています。

年次総会期間全体にわたって1時間のアナリティカル・コーナーも多数予定されており、様々なテーマを取り上げます。これらは、IMF職員による短いプレゼンテーションで、移民の経済的影響、欧州における自動化と雇用、ラテンアメリカの非公式経済と労働市場、ロックダウンからのアジアの教訓、ドイツの短時間労働制度、モバイルマネーと新型コロナウイルス、中東と中央アジアにおける社会支出、アフリカの復興のグリーン化など、幅広い話題を取り上げていきます。

ライブ配信の全体スケジュールはこちらでご確認ください。

最後に

IMF年次総会特別ニュースレター配信の申し込みがまだの方は、こちらをクリックして、「送信」を押すとリストに登録されます。次回の年次総会特別ニュースレターは2020年10月12日(月)配信予定です。

この年次総会特別ニュースレターは、英語、フランス語、スペイン語、中国語、日本語、ロシア語、アラビア語で発行されています。別の言語での配信を希望される方は、こちらをクリックして、メールアドレスを入力の上、登録ページにアクセスしてご希望の言語を選択してください。

すでに配信をお申し込みいただいている場合は、次回の年次総会特別ニュースレターを2020年10月12日(月)にお届けします。お楽しみに。そうでなければ、来週金曜日の次回ウィークエンド・リードで1週間のまとめをお届けします。

敬具

IMF2020年年次総会チーム

年次総会(2020年)メディアパートナー

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